仙台・宮城の中小企業診断士 / 経営コンサルタント 翠星企画株式会社 代表取締役 細野哲平ブログ

東北地方の中小企業経営者が会社を経営していくうえで
役立つであろう内容を中心にお届けしていきます。

金融機関向け事業計画では売上高は控えめにした方がいい理由

2017年9月13日
これから銀行から融資を受けようとしている、または既に融資取引がある場合、事業計画の提出を求められることがあります。
 
その際の計画には、今後の売上高推移見込みを書くことになりますが、ここでの売上数値に関しては、極力控えめにしておいた方がよいです。
 
 
事業に自信がある、または銀行からよく思われたいなどの理由から、挑戦的な売上目標を掲げている事業計画をよく見かけますが、これは危険です。
 
 
まず、基本的に金融機関は、計画における実現可能性を重視しています。
自社でコントロール可能な経費計画はともかく、相手ありきの売上計画については、ただでさえ懐疑的に見ています。
ここで根拠の薄い売上計画を出してしまった場合、計画自体の信憑性が疑われて、申し込んだ融資の否決、または今後の取引に影響を及ぼしてしまう恐れがあります。
 
 
また、計画提出から数年が経った時、計画と実績に大きな乖離が生じてしまうと、これまた今後の取引に影響を及ぼします。(売上目標達成率が7割を下回ると危険です)
具体的には、追加融資が受けられなくなる、既存融資の回収に動かれる可能性が生じます。
 
 
ですので、金融機関向けの事業計画策定する際は、特に売上計画は保守的に立てるようにしましょう。
もちろん、社内向けの挑戦的な売上目標は別に用意してくださいね。

限界効用逓減の法則を自己研鑽に当てはめて考えてみる

2017年8月30日
経済学の用語で「限界効用逓減の法則」というものがあります。
詳しい説明はここではしませんが、ざっくりいうと、一定単位の何かを消費した際に得られる効果(効用)は、消費すればするほど減っていくということです。
 
よく例として挙げられるのはビールの満足度です。
ビールの杯を重ねるほどに満足感は減っていく、つまり一杯目が一番おいしく感じて、二杯目、三杯目と杯を重ねるごとに、おいしく感じる度合いは減っていくということです。
 
この考え方は経営においても色々応用が利くのですが、今回はこれを自己研鑽に当てはめて考えてみましょう。
経営者の方々は勉強熱心な方が多いと感じています。
ただ、多忙な経営者が自己研鑽のための勉強時間を確保するというのはなかなかに大変で、なるべく効率よく勉強するためにはどうしたらよいかという声を聞きます。
 
結論から書いてしまうと、限界効用を極限まで高めるためには「それぞれの学習分野において、自身の業務における必要最低限必要なところまで勉強する」ということになります。
 
たとえば、決算書が読めるようになりたいということで、簿記の勉強をするとしましょう。
簿記を勉強したことがある方であればわかると思いますが、3級、2級、1級、さらに公認会計士とランクが上がるにつれ、必要勉強時間は指数関数的に増えていきます。
ただ、プロの会計士や経理担当者を目指すならともかく、経営者の立場で必要なレベルはせいぜい2級+α程度だと思います。
 
簿記2級を超えたあたりから、限界効用、つまり勉強時間あたりの得られる効果はどんどん減っていくということです。
つまり、簿記2級レベルの知識を身に着けたら、他に自分の仕事に役立つジャンルの勉強に切り替えた方が全体的な効果は高いということです。
 
経営者の時間という貴重な資源をいかに効果的に配分するかということは、経営全体に及ぼす影響も大きいですので、是非、今後は時間配分も考えたうえで自己研鑽に励まれるとよろしいかと思います。
 
・・・そういいながらも私はいわゆる「やり込み」が好きなので、ついつい無駄にやりすぎてしまうことも多々ありますが、その辺りは自己満足ですね。
 
 
また、最後に余談になりますが、この「限界効用逓減の法則」は色々な考えに応用がききます。
例えば「恋人と過ごす時間」や「家族サービスの時間」などですね。
こういったことをあまり細かく書くといろいろな方面からお叱りを受けそうなのでこの辺で止めておきます。
 

運転資金について知っておきたいこと(Vol.7) ~ビジネス構造を変えることで運転資金を抑える~

2017年7月31日
「運転資金について知っておきたいこと」シリーズ
「運転資金について知っておきたいこと(Vol.1) ~基本的な考え方~」
「運転資金について知っておきたいこと(Vol.2) ~業種別の運転資金その1~」
「運転資金について知っておきたいこと(Vol.3) ~業種別の運転資金その2~」
「運転資金について知っておきたいこと(Vol.4) ~事業に必要となる資金の計算方法~」
「運転資金について知っておきたいこと(Vol.5) ~増加運転資金が会社を潰す?~」
「運転資金について知っておきたいこと(Vol.6) ~事業拡大と融資について~」
 
 
繰り返しになりますが、運転資金とは、売上と入金のタイミング、仕入れと販売のタイミングが違うために必要となる資金のことです。
 
計算式は以下の通り。
 
運転資金 = 売上債権 + 棚卸資産 – 仕入債務
 
売上債権・・・売掛金、受取手形等
棚卸資産・・・材料、仕掛品、製品、商品の在庫等
仕入債務・・・買掛金、支払手形等
 
 
7回にわたって書いてきた運転資金シリーズですが、ひとまず今回で最終回です。
シリーズ最後のエントリーでは、ビジネス構造を変えることで運転資金を抑える方法について書いてみたいと思います。
 
第5回エントリーでは、増加運転資金の危険性について書きました。
 
多くの運転資金を要するビジネスモデルの場合、売上規模が拡大すればするほど、必要な運転資金も増え続けます。
この増加運転資金を利益だけで賄うのはなかなか難しいので、普通は融資に頼ることになるのですが、様々な事情や考えがあって、なるべく融資は受けたくない(または受けられない)という方も当然いらっしゃるでしょう。
 
そんな時はビジネス構造を変えることを考えてみましょう。
それにより、必要運転資金を減らす、場合によっては0にすることもできるのです。
 
 
考え方の基本としては、運転資金の計算要素の3つから検討します。
1.売上債権を減らす
2.棚卸資産を減らす
3.仕入債務を増やす
の3つです。
 
その具体的方法については、業種によって様々な手法があるのですが、ここでは基本的なところだけ書いておきます。
 
1.売上債権を減らす
これはたとえば、売掛金の支払サイトをなるべく短くしてもらったり、現金払いや前払いにしてもらうよう交渉することで実現できます。
たとえ、力関係があってこれまでの取引先との条件変更が難しい場合でも、新たな商品やサービスについては現金一括前払いのみとする、などといったことは考えられるでしょう。
なお、全て前払いにすると、確かに運転資金的には楽になるのですが、いっけん資金に余裕があるように思えるからか、出費に対して注意が緩くなってしまいがちですのでご注意ください。(昔、破たんした某英会話教室など)
 
2.棚卸資産を減らす
これはたとえば、仕入商品はなるべく短期間で売り切るようにする、余計な仕入は行わないといったことは当然ですが、一部商品・サービスだけでも完全注文生産にすることで余分な在庫がでないようにする、委託販売とすることで仕入リスクを負わないようにするなどといった方法も考えられるでしょう。
 
3.仕入債務を増やす
これは基本的には、支払いサイトを延ばす、つまり相手先に支払う時期をなるべく延ばすということです。
現金取引だったものを掛け取引にしてもらうというのもあるでしょう。
また、現金で買っていたものをクレジットカード払いにするのも考えは同じです。
ただ、当然ながら相手からしてみれば入金が遅くなるわけで、嫌がられることがありますし、場合によっては、与信面での疑義を抱かせる、つまり「あの会社、危ないんじゃない?」と思われてしまう可能性があります。
ですので、特に取引先に対しては、必要以上に支払時期を延ばすのは止めた方がよいでしょう。
 
 
以上、参考になれば幸いです。 今回で運転資金シリーズはひとまず終了です。もし今後、取り上げて欲しいテーマなどありましたら、ぜひリクエストしてください。 こちらのお問い合わせフォームからどうぞ!