仙台・宮城の中小企業診断士 / 経営コンサルタント 合同会社ジェイドキャット 代表社員 細野哲平ブログ

東北地方の中小企業経営者が会社を経営していくうえで
役立つであろう内容を中心にお届けしていきます。

運転資金について知っておきたいこと(Vol.2) ~業種別の運転資金その1~

2017年6月15日
前回エントリー「運転資金について知っておきたいこと(Vol.1) ~基本的な考え方~」の続きです。
 
前回、運転資金は売上と入金のタイミング、仕入れと販売のタイミングが違うために必要になると書きました。
 
復習として、運転資金の計算式は以下の通りです。
 
運転資金 = 売上債権 + 棚卸資産 – 仕入債務
 
売上債権・・・売掛金、受取手形等
棚卸資産・・・材料、仕掛品、製品、商品の在庫等
仕入債務・・・買掛金、支払手形等
 
 
ところで、こういった商売の取引形態は、業種や業態によって異なります。
そうすると当然、必要となる運転資金も大きく変わってきます。
 
多額な運転資金が必要になる業種・業態と、そうでもない業種・業態があるということです。
今回は身近な業種でいくつか例を出してみましょう。
 
 
1.飲食業
飲食業は運転資金がほとんど無い業種の代表例です。
何故なら、売掛債権、棚卸資産がほとんど無いからです。
 
売上債権はクレジットカード利用の場合くらいで、カード取扱がないお店は売掛金はほぼゼロではないでしょうか。(ツケ払いがあるのなら別ですが)
 
棚卸資産である食材もほとんど当日に使い切ってしまうのではないでしょうか。
ただ、保存がきく食材やお酒などを多く置いている場合は多少あるかもしれません。
 
そして、食材等の仕入れを掛け取引している場合は、仕入債務は発生します。
 
よって、場合によっては、運転資金がマイナスになる場合もあります。
つまり、仕入債務の支払い分、資金に余裕ができるということです。
これを「回転差資金」と呼びます。
 
ちなみに、飲食店の王道の戦略としては、この回転差資金で、どんどん新規出店を行って拡大を図っていきます。
 
 
2.小売業
現金取引が多い小売業であれば、飲食業同様に運転資金はあまり必要ない業種です。
 
ただ、小売業の場合、仕入れから販売までのタイムラグは一般的には飲食業よりは長いので、棚卸資産は大きくなりがちです。
 
仕入れてから販売までが長い商品が多い場合は、その分の運転資金が必要になるのでご注意ください。
 
 
3.店舗型サービス業(理美容、エステ、マッサージ店等)
理美容、エステ、マッサージ店等の店舗型のサービス業も、基本的に運転資金は必要ない業種です。
 
やはり売上は現金取引が多いでしょうし、さらにこういった業種の場合、在庫がほとんどありません。(シャンプーとかはあるのでしょうが)
 
さらに、エステやマッサージ店だと、回数券を販売している場合がありますね。
この回数券の販売が大きいと、将来の売上分も先に入金されることになるので、さらに運転資金は不要になります。
 
これらの業種も回転差資金が生まれるので、これを使って新規出店をしていくのが王道の拡大戦略です。
 
 
4.経営コンサルティング、講師、教室等
同じサービス業でも、我々のような経営コンサルティング業や講師、教室運営の場合だとちょっと異なってきます。
これらの業態の場合、支払条件次第で必要運転資金は全く異なります。
 
支払条件が前払いが多い場合は、運転資金は不要です。資金的にも余裕ができます。
 
逆に後払いが多い場合、つまり例えば「サービス提供完了後の翌月末払い」とかにすると、その分の売上債権が運転資金になります。
 
外注でもしていない限り、支払債務はほとんどないでしょうから、売上債権=運転資金になることが多いかと思います。
 
余談になりますが、行政のお仕事はたまに「年度末一括払い」という条件があります。
仮にすべての仕事をその条件でやってしまうと、運転資金が年商と同じということになってしまいます。(極端な例ですが)
売上になるからと、何も考えずにホイホイ受けていると、いつまでたっても入金が無くて資金難に陥ってしまうということにもなりかねませんのでご注意ください。
 
 
長くなりそうなので、続きは次回にします。

運転資金について知っておきたいこと(Vol.1) ~基本的な考え方~

2017年6月10日
会社を経営している人であれば、「運転資金」という単語を聞いたことはあるかと思います。
 
しかし、日々、経営者の方とお話していると、運転資金についていまいちピンと来てない方もいらっしゃるので、ここで何度かに分けて運転資金についてのエントリーを書いてみたいと思います。
 
そもそも、運転資金とは何かということについては、過去エントリー「銀行融資の返済期間って何年にすればよいのか?(運転資金編)」にも書きましたが、以下の通りです。
 
運転資金 = 売上債権 + 棚卸資産 – 仕入債務
 
売上債権・・・売掛金、受取手形等
棚卸資産・・・材料、仕掛品、製品、商品の在庫等
仕入債務・・・買掛金、支払手形等
 
例えば、以下のような卸売業の会社があるとします。
月商:100万円
売上原価:70万円
商品在庫:50万円(在庫期間0.5か月)
売掛金:100万円(回収期間1か月)
買掛金:70万円(支払期間1か月)
 
この会社の運転資金は以下の通りです。
100万円(売上債権)+ 50万円(棚卸資産)- 70万円(買掛金) = 80万円
 
この会社の運転資金は80万円ということですが、これが何を意味するかというと、この会社の商売を回す(継続していく)ためには、少なくとも80万円の現預金が必要ということです。
 
 
そもそも何故、運転資金が必要になるかというと、売上と入金のタイミング、仕入れと販売のタイミングが違うからです。
このタイミングの差を埋めるために必要な資金が運転資金です。
 
売上と入金が同じ、つまり現金商売であれば、売上債権は0のはずです。
また、仕入れた商品が即販売できるのであれば、在庫、つまり棚卸資産も0になります。
そういう商売の形態であれば、運転資金は必要ありません。
 
しかし、多くの商取引では、掛売がありますし、仕入れた商品がすぐに売れるわけではないことが多いでしょう。
ですので、多くのビジネスでは運転資金を用意する必要があるのです。
 
 
なお、必要な運転資金は業種やビジネスの形態によって変わってきます。
次回はそのあたりを説明したいと思います。

中小企業診断士って何なの?

2017年5月8日
私は中小企業診断士なわけですが、残念ながら中小企業診断士の知名度は、弁護士や税理士に比べると低く、経営者の方からは、「中小企業診断士って何なの?」と聞かれることが時々あります。
 
実際のところ、中小企業診断士の業務は幅広く、それぞれの診断士ごとに異なる専門性や得意分野があり、業務内容もかなり異なるので、なかなか統一的なイメージをもってもらうことは難しいのかもしれません。
 
中小企業診断士は、経営コンサルタントの唯一の国家資格なので、「経営コンサルタントです」とするのも間違いではないと思うのですが、そもそも経営コンサルタントのイメージも、活用したことが無い人にとってはいまいちわかりにくいのではないでしょうか。
 
 
そこで私の場合は、「会社の未来を作るお手伝いをしています」といった感じでお伝えするようにしています。
これは私の解釈で、自身の業務領域も多少は関係していると思いますが、将来の事業計画作りというのは、多くの中小企業診断士にとって得意分野なのではないでしょうか。
 
診断士という名前からは、ただ現状を分析してその結果を報告するだけというイメージを与えかねませんが、中小企業診断士の本領としては、やはり未来の計画作りの部分なのではないかと思っております。
 
 
ですので、今後、会社の将来を一緒に考えてくれる人いないかなと思ったら、是非、中小企業診断士のことを思い出していただければ幸いです。