仙台・宮城の中小企業診断士 / 経営コンサルタント 合同会社ジェイドキャット 代表社員 細野哲平ブログ

東北地方の中小企業経営者が会社を経営していくうえで
役立つであろう内容を中心にお届けしていきます。

運転資金について知っておきたいこと(Vol.6) ~事業拡大と融資について~

2017年7月26日
「運転資金について知っておきたいこと」シリーズ
「運転資金について知っておきたいこと(Vol.1) ~基本的な考え方~」
「運転資金について知っておきたいこと(Vol.2) ~業種別の運転資金その1~」
「運転資金について知っておきたいこと(Vol.3) ~業種別の運転資金その2~」
「運転資金について知っておきたいこと(Vol.4) ~事業に必要となる資金の計算方法~」
「運転資金について知っておきたいこと(Vol.5) ~増加運転資金が会社を潰す?~」  
 
繰り返しになりますが、運転資金とは、売上と入金のタイミング、仕入れと販売のタイミングが違うために必要となる資金のことです。
 
計算式は以下の通り。
 
運転資金 = 売上債権 + 棚卸資産 – 仕入債務
 
売上債権・・・売掛金、受取手形等
棚卸資産・・・材料、仕掛品、製品、商品の在庫等
仕入債務・・・買掛金、支払手形等
 
 
今回は、融資を受けながら事業拡大していくことについての説明をしたいと思います。
 
 
前回エントリーでは、運転資金が必要なビジネスにおいては、売上が拡大するとその分運転資金が必要となるので気を付けなければならないと書きました。
 
これはいわゆる「増加運転資金」と呼ばれるもので、これを利益だけで賄おうとすると、会社はなかなか成長できません。
 
 
そこで必要になってくるのが金融機関からの融資です。
 
人によっては、借金への極度な恐れから、なるべく無借金で経営しようとするのですが、ご自身のビジネスが運転資金が必要な構造になっているのであれば、早いうちから金融機関とのお付き合いをしておくことをお勧めします。
 
通常、「増加運転資金」というのは、売上増加に伴う前向きな資金需要なので、金融機関からの融資は受けやすい部類に入ります。
 
会社が成長して、売上がどんどん伸びていけば、それに伴って、必要運転資金を賄うための融資額も増えていきますが、そこはあまり気にする必要はありません。
業種にもよりますが、だいたい月商の3か月分程度までであれば、適正額の範囲内です。
 
 
ただ、注意が必要なこととしては、いったん運転資金を融資に頼るようになった以上、金融機関とは良好な関係を継続しておく必要があるということです。
 
万が一、融資が回収される方向になってしまったら、あっという間に資金ショートです。
 
 
良好な関係を継続するといっても、別に何か贈り物をしろとかではなく、節目ごと(例えば決算書ができた後など)に業況について報告をする、何か資料の提出を求められたら遅滞なく対応するなどといった当たり前なことです。
 
仮に何かしらの理由で赤字を出してしまったとしても、きちんとした説明があれば、いきなり態度が冷たくなるということはほとんどないでしょう。
 
ただ、全く取引がないにも関わらず、決算の数字が悪い(二期連続赤字や債務超過)の状態で融資申し込みを行っても、融資は受けにくい可能性が高いです。
 
ですので、状態がいいうちに取引を開始し、取引実績を積み重ねて相手からの信頼を得ていくことが望ましいでしょう。
(ちなみに一番お金を借りやすいのは創業融資という説もあります)
 
 
健全な会社の成長のために、金融機関とは上手に付き合っていきましょう。
 
 
運転資金シリーズは次回でひとまず最終回の予定です。
最後はビジネス構造を変えることで運転資金を抑える方法について書いてみたいと思います。

補助金に通りやすい事業を考えるヒント

2017年7月21日
先日、創業補助金の採択結果が発表されました。
http://www.tohoku.meti.go.jp/s_shinki/topics/170718.html
 
昨年からかなりハードルが上がった印象がある創業補助金ですが、今年度は応募739件(うち東北37件)のうち採択が109件(うち東北10件)とのこと。
採択率としては、全国14.7%(東北27.0%)と、持続化補助金やものづくり補助金と比べても採択率は低めです。
 
 
創業補助金に限った話ではありませんが、こういった補助金には採択されやすい事業と、そうでない事業があります。
 
採択されやすい事業を考えるためのヒントとしては、1つは公募要領、特に補助金の趣旨や目的といったあたりをよく読み、それに沿った事業内容にすることです。
 
そしてもう1つは、過去の採択者のリストを見て、どういった事業が採択されているのかを確認してみることです。
 
初公募の補助金でなければ、過去の公募の採択結果はだいたい見れるようになっています。
※今回の創業補助金の採択者リストは以下。
http://sogyo-shokei.jp/assets/files/sogyo/29sogyo_saitaku.pdf
 
だいたい、このリストには事業タイトルや簡単な概要が記載してあり、どういった事業なのかがわかるようになっています。
 
これを見ることで、公募する側(創業補助金であれば国)は、どういった事業を求めているのかがなんとなく見えてきます。
 
 
もちろん、事業計画がしっかりしている必要があることは言うまでもありませんが、それ以前にそもそもの事業内容が行けそうか否かを判断するためのヒントとして参考にしていただければと思います。

運転資金について知っておきたいこと(Vol.5) ~増加運転資金が会社を潰す?~

2017年7月9日
「運転資金について知っておきたいこと」シリーズ
「運転資金について知っておきたいこと(Vol.1) ~基本的な考え方~」
「運転資金について知っておきたいこと(Vol.2) ~業種別の運転資金その1~」
「運転資金について知っておきたいこと(Vol.3) ~業種別の運転資金その2~」
「運転資金について知っておきたいこと(Vol.4) ~事業に必要となる資金の計算方法~」
 
繰り返しになりますが、運転資金とは、売上と入金のタイミング、仕入れと販売のタイミングが違うために必要となる資金のことです。
 
計算式は以下の通り。
 
運転資金 = 売上債権 + 棚卸資産 – 仕入債務
 
売上債権・・・売掛金、受取手形等
棚卸資産・・・材料、仕掛品、製品、商品の在庫等
仕入債務・・・買掛金、支払手形等
 
 
今回は売上急成長で絶好調の時にこそ注意が必要な増加運転資金について書いてみたいと思います。
 
ちなみに私が過去に経営に失敗した時の理由の1つに、この増加運転資金についての理解が足りなかったことがあります。
 
売上がどんどん増えているということは、ビジネスが順調ということであり、売上の数字だけ見ていると、つい気が大きくなってしまいがちです。
 
 
しかし、通常、売上が増えると運転資金も増加します。
売上アップにより増える運転資金を増加運転資金と呼ぶのですが、この増加運転資金のことを考えずにむやみに売上アップに走ると資金繰りがショートします。
 
例えば、以前にも例に出した以下のような卸売業の会社があるとします。
月商:100万円
売上原価:70万円
商品在庫:50万円(在庫期間0.5か月)
売掛金:100万円(回収期間1か月)
買掛金:70万円(支払期間1か月)
 
この会社の運転資金は以下の通りです。
100万円(売上債権)+ 50万円(棚卸資産)- 70万円(買掛金) = 80万円
 
この会社が仮に売上が急に倍になったとしたら、運転資金は以下のようになります。
(売上金額以外の条件は一定とします)
 
200万円(売上債権)+ 100万円(棚卸資産)- 140万円(買掛金) = 160万円
 
 
この会社の場合、売上が倍になることで得られる粗利益は30万円アップの60万円です。
しかし、運転資金は80万円アップの160万円になります。
これは何を意味するかというと、利益のアップ分だけでは、運転資金を賄いきれないということです。
現預金に余力があればよいのですが、ギリギリで回しているとあっという間に資金ショートです。
売上が倍になったのにお金が足りないのです。
ですので、運転資金が必要な業種の方は特に、売上の急拡大にはご注意ください。
 
そうはいっても、せっかくビジネスが好調なのにブレーキをかけるのかというお話もあります。
 
そういう時に金融機関からの融資を活用するのです。
 
 
次回エントリーでは融資を受けながら事業拡大していくことについての説明をしたいと思います。